しまなみサイクリング入門(9) 伯方島・大島1周 地獄編

 しまなみ海道サイクリングの尾道側から全ての島の外周をコンプリートするまで、あとは伯方島と大島を残すところまでやって来ました。

 「伯方島」はしまなみ海道のメインの6つの島の中では一番小さい島で、面積は向島より少々小さいようです。推奨ルートで通る距離も2~3kmほどで西岸をかすめる位の距離しか走りません。

 その短い距離の中で目立つ施設は、重点道の駅「伯方S・Cパーク」です。ここでは毎回サイクリングで来るたびに小休止で「伯方の塩ソフトクリーム」を食べに立ち寄ったりします。

 大三島にもあった「6人のシクロ・ツーリスト」という人型サイクルスタンドがここにも設置されていますので記念撮影にもうってつけです。

 推奨ルート上にはありませんが、伯方島でガイドブックに載る二大巨頭が、「Patisserie T’s cafe 玉屋」と「伯方の塩ラーメン さんわ」です。

 「玉屋」は代々和菓子店だったものを今のご主人が洋菓子店に転換されたそうですが、海が見えるテラスを備えた素敵なお店となっています。私が以前訪ねた時にはランチタイムでスウィーツではなくカレーを頂きましたが、せわしないサイクリングの中でも落ち着ける場所です。さんわ」の塩ラーメンはいつも行列の人気店で、下は前年のサイクリング時に撮った改装前の写真ですが結構な繁盛ぶりでした。ただせっかちな私にとっては「30分以上待ってまでは・・・」な感じです。あくまでも「私にとっては」ということで、人気があるにはそれなりの理由があるはずです。


伯方島一周サイクリング

 そんな「伯方島一周」を実行したのは2016年9月の大型連休で、今治国際ホテルに宿をとって、「伯方の塩」で有名な伯方島に自転車を積んで車でやって来たのですが、いつもと違うのは、折角の連休なのですが天気が雨だったことです。

 ここに来るまでにコーヒー音痴のくせに尾道では「浪漫コーヒー」でワッフルモーニングで朝食をとり、大三島の「オミシマコーヒー焙煎所」でコーヒーとプリンを頂いてやって来ましたが、車だと何の苦労も無く伯方島にたどり着きました。


 スタート地点として「伯方S・Cパーク」に車を置いて折畳み自転車を展開します。シートポストの後ろにはリクセンカウル社のアタッチメントとバスケットをセットしました。バスケットには雨蓋が付いていますので小物の出し入れはザックを背負うより便利で身軽です。 昔から悪天候の中で遊ぶのは嫌いな方ではないのでレインウェアはモンベルのゴアテックス製のちょっと良いのを持っています。軽い運動やじっとしている分には雨の中でも結構快適なのですが、サイクリングで激しい運動となるので、その辺はさすがにゴアテックスといえども蒸れないか気懸かりです。


 前年の2015年に「さんわ」にラーメンを食べに行くために島の南側1/3くらいは走っていますので今回は反対側の時計回りでの一周に向けで漕ぎ出します。 

 大三島橋入り口を過ぎて行きますと熊口(くまご)となります。ここからは大三島との間の鼻栗瀬戸に架かる大三島橋の横っ面が見えます。この先の半島状な部分が開山(ひらきやま)公園といって春には1000本の桜が咲き誇る名所ですが、そそくさと雨の中、島を一周する事だけ考えて先を急ぎます。 しばらく走ると北浦という地区に差し掛かりますが、今度は多々羅大橋の真横からの光景も見えてきます。このアングルは推奨ルートからは見ることが出来ませんので、寄り道する事で知らない世界が見えてきます。 島を半周して、以前に逆回りで来た事がある伯方島で一番賑やかな木浦地区までたどり着きました。改装後の「さんわ」は雨でも外で待つ人が居て賑わっていましたが、私はこの日の夜はゴールの今治で名物の焼き鳥を食べる事を考え、雨天の中で先を急ぎます。 この先で前述の「玉屋」も通り過ぎて、少し行くと上り坂に差し掛かり、左手に鵜島という小さな島が見えてきます。この海峡部分が「船折瀬戸」といって船が折れるくらいの潮流が激しい所だそうです。ここの観潮台で一休みします。

 観潮船がやってきましたが、雨天のうえ、この時間帯は潮も若干穏やかで乗船客はまばらです。下に潮流が激しい時の写真も入れましたが、海と言うより川のような流れで、戦国時代にはここで村上水軍が活躍していたのでしょう。

 ここから下って行ってしばらく走るとスタート地点の道の駅「伯方S・Cパーク」となり、寄り道せず一気に走ったのであっけなく伯方島一周を征服しました。

 残すところは大島だけとなりましたが、この時、午後1時半で時間的にも体力的にも余裕があり、雨も大降りというほどでもないので「それじゃあ大島も行きますか」という事にしました。よせば良いのに、この後に我が身に降りかかる災難も予想していませんでした。


勢いで大島一周に漕ぎ出す

 「伯方S・Cパーク」から目の前の「伯方・大島大橋」に上がっていきますが、ここは容易に橋にアクセスできます。伯方・大島大橋という名前が付いていますが、実は伯方橋大島大橋の2つの橋となっていてその橋脚部分に「見近島(みちがじま)」という無人島があります。この島は後に私の「しまなみ生活」に転機をもたらす重要な場所になりますが、この話はあと3話位後で書きます。 橋を下りて、推奨ルートが島の山間部をアップダウンしながら縦断するので「しまなみ海道の」とまで嫌う大島に降り立ちましたが、今回は推奨ルートと反対の反時計周りで外周を走り出します。大島は石材産業が盛んな土地柄で随所に石屋さんがあります。 島の北側は海辺の平坦な所ばかりではなくアップダウンも出てきますが、あまり人の気配の無い所を進んでいきます。人里に出たと思ってもお店が無いことに気付きます。そういえばお昼ご飯を食べてないなあと思いつつ店が無いので仕方ありません。

 そうこうして走っていると吉海町の「よしうみバラ公園」という観光スポットに着きます。ここでペダルを休めますが、雨の中でバラを見ても雰囲気が上がりません。またここの名物が「バラソフトクリーム」。雨の中で食べる気になれません。 ひたすら大島を一周する事だけを考えて外周を進み今度は造船所脇を通ります。実はここの少し手前には、後に私が足しげく大島に通う理由の一つ、「ペイザン」というパン屋さんがあるのですが、この時にはそういった店が有るのも知らずに進んでいきます。 造船所からは平坦な快走コースとなり遠く霞んだ先には徐々に来島海峡大橋が徐々に大きく見えてきだして元気が出ます。 来島海峡大橋の下をくぐると大島の北側を半周したこととなり、道の駅「よしうみい いきいき館」で小休止です。3時前になりますが、残り半周を走り、今治のホテルにチェックインして焼き鳥にありつく事が脳裏をよぎり、大島の南側に向かい漕ぎだします。 海辺の集落と集落の間を一山越えるの繰り返しで急坂上がって、下って先を急ぎますが、雨天の急な下りではブレーキシューが早く消耗する感覚で「急峻」という漢字の意味を身をもって体験しました。私の嫌いな推奨ルートのアップダウンが天国にも思えて「あれが一番楽な道だったんだ」と知りました。

 集落から離れて1車線ちょいの山道を登っている時に「それ」はやってきました。突然足が攣って動かなくなりました。しのつく雨の中で細い道路に大の字に横たわって収まるのを待つしかありません。10分位の事でしたが、藪の中から「ガサガサ」と草が摺れるような音が聞こえ、イノシシだと思ってしまいますので生きた心地がしません。

 何とか起き上がってゆっくり走り出します。登り坂になるとまた足が攣ってきますので、無理せず押して登り、またがって下るを繰り返して進みます。

 後で調べると「ハンガー ノック」という症状で空腹で激しい運動をすると、極度の低血糖状態になり、脳から各部位への信号を伝える物質が欠乏して起きる症状らしいです。

 時間をおけば体内の脂肪を分解してエネルギーが供給されて回復していくそうなのですが、雨で先を急いだ事と、大島の外周部にはお店が無いということに、私の無知が重なって起きた事態です。 カフェが見えて来ましたが4時の閉店時間を過ぎていました。「食堂みつばち」というお店ですがここも私を大島に惹きつけるお店で次回紹介します。 この先で自販機がやっと出てきてデカビタの何と美味しかったことか。しかし宮窪の町に向かってまた山越えが立ちはだかり(本当は大した登りではないのですが)無理せず押して登ります。

 この先やっと伯方・大島大橋が見えてきてゴールも目前だと我が身に鞭打って橋に向かい登っていきます。ところが、ここで不覚にも再度ハンガーノックで立ち往生。丁度ベンチがあり道に大の字にならずに済んだのが不幸中の幸いです。

 伯方島に戻ってボロボロになりながらも「大島一周征服」でしまなみ海道全島の外周をコンプリートしたことに・・・してください。

 ここから先は自転車を畳んで、車で今治まで一気に走り今回も今治国際ホテルに豪華宿泊です。値段はそう変わらないのにお部屋のグレードが上がってツインのシャワーブース付きの部屋で一休みします。

 一息ついた後、さっきまで地獄を見ていたことも忘れて、全島コンプリートの自分へのご褒美に今治名物の焼き鳥を食べに繰り出しましたが、多くの教訓を得た1日でした。

 このように苦労の後には楽しいことが待っている「しまなみ海道サイクリング」ですので、次回はいつも悪く書いている「大島」の、その後に私を毎月のように惹きつける天国な部分ばかりを紹介します。

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