しまなみサイクリング入門(14) 番外編 巻き添えを作る(とびしま海道ほか)

 しまなみサイクリング入門と言いながらも徐々に深みに入って来ましたが、基本的に私一人で走っている時の事を書いています。そんな中で、サイクリングの素晴らしさを周りにお裾分けしようと、何回かは同僚や高校時代の同級生など身近な人達にサイクリングの「良い所」だけ言って騙くらかして、連れ出してみました。

 同行者にはハードルをうんと下げて配慮したつもりで、自動車の後ろに折畳み自転車を2台積んで目的地までアクセスして、目的地での観光をメインにして楽しんでもらいました。

 こういった自動車に折り畳み自転車を積み込むのが「輪行」の一番イージーな形態でしょう。


とびしま海道を案内してみた

 呉市の川尻から愛媛県の岡村島に至る「とびしま海道安芸灘とびしま海道が正式名称と指摘を受けましたが長くなるので略称で)に案内した時には、本土側から最初の橋の安芸灘大橋を渡ると下蒲刈島となりますが、まず白崎園という公園にそびえ立つ二本のモニュメントに出迎えられます。

 ここから車で一気に上蒲刈島・豊島を経て、とびしま海道一押しのスポットである大崎下島の御手洗にアクセスして、ここで折り畳み自転車を展開して観光してもらいます。

 往時は廻船の瀬戸内海航路での「風待ちの港」として大いに栄えた御手洗は国から重要伝統的建造物群保存地区として選定されています。

 家々の前には花が添えられ訪れる人たちを歓迎しようという地域の方々の気持ちが伝わってきます。古くからの建物が立ち並び、とりわけ二階部分の高さの抑えられた長屋や洋風の医院や床屋など特徴のある建物がアクセントとなっています。

 この街並みの風景は、ちょっと前には日産のデイズやサントリーのオランジーナ、最近ではにしき堂の生もみじのCM(ただし牡蠣いかだの部分は江田島です)などの舞台として使われています。下の動画では町の特徴をよく捉えています。

 通学路の看板の大股で走る小学生のシルエットは、こんな奴いないだろうと言いながらつい写真を撮ってしまいます。

 御手洗はケバケバしい商業化が進んでおらず、ありのままの日常と日本情緒を感じながら落ち着いた観光ができるエリアです。

 私はもともと関東・近畿など地域外の博物館や寺社仏閣に目が向いていて、地元は結構無関心だったのですが、しまなみ海道サイクリングを始めて、広島県内の宮島・平和公園周辺以外にも島しょ部に素晴らしい所が有ったんだと惹かれてしまいました。

 御手洗は小学校の社会科で「おてあらい」とか言っていた記憶はあるのですが、今にしてみますと何で来ていなかったんだろうと思う場所でした。

 汐待ち・風待ちの港として多くの人で賑わったなか、遊女・芸奴を多く抱えていた若胡子屋というお茶屋さん跡が資料館になっていて、栄えていた頃の様子とともに、今では想像できない遊女の悲しい言い伝えなどが展示されています。

 海辺の長屋で模型の船を作っている船大工のおじさんに「おちょろ船、みかん船」というキーワードで昔の御手洗の様子を聞くのも生きた教材になります。

 隣のエリアにも足を延ばすと広島県では代表的なミカン産地の「大長(おおちょう)」で、ここの問屋さんの店先では搾りたてミカンジュース2種が、セルフサービスで一杯100円で飲めます。

 交通・観光は私持ちなので昼食は脇坂屋という旅館でご馳走してもらいました。そんなに食べるお店は多くないのですが、ここ以外では海沿いの長屋の船宿「なごみ亭」でアナゴ飯などがお薦めです。

 そしてここから小さな島を繋いだ3本の橋を渡って県境を越え、とびしま海道の最奥部にあたる愛媛県今治市の岡村島まで行きます。

 岡村港前の「まるせきカフェ」では、食べるのが惜しくなる見た目が可愛い卵プリンが有名なのですが、どのようにして卵を割らずに中身を全部プリンに入れ替えたのかは、食べてからのお楽しみです。

 路地を散策すると、塩・煙草店や銭湯跡など、栄えていた痕跡が残っていますが、今では猫が私たちの気配も気にせずにぐっすりと昼寝するほどの静かな島時間を過ごせます。

 行きは一気に御手洗まで行ったので、帰りに時間の余裕があり下蒲刈島に立ちどまりましたが、この島には蘭島閣美術館・松濤園・朝鮮通信使資料館・三之瀬御本陣芸術文化館などの文化施設が連なりそこそこ観光できます。この日は沖合に停泊していた客船「パシフィックビーナス」の乗船客が観光に訪れていました。

 このあとは安芸灘大橋を自転車で往復して一応の達成感を味わいたいとのご所望で、白崎園で再度自転車を下ろして橋を往復して海上での横風を感じながら達成感を味わってもらいました。

 帰途にちょっと足を延ばして行きつけのカフェでアルコールのない泡飲料で乾杯です。

 


鞆の浦を案内してみた

 これまた「潮待ちの港」として繁栄した鞆の浦ではそんなに距離は走りませんでしたが、古い町並みを下駄代わりに走り回ってみました。

 海援隊の坂本龍馬が乗り組んでいた「いろは丸」が紀州の軍船と衝突して沈んだことでも知られた場所なのですが、鞆の浦のシンボルの常夜灯の近くに資料館もあります。また町内を龍馬の格好をして刀にピストルを携えた物騒な人に出会うこともあります。

 鞆の浦と言えば、観光鯛網で有名ですので、ここでも交通・観光は私持ちですので、昼食は鯛めしの御膳をご馳走になりました。

 町はずれの阿藻珍味では、マツダの基礎を築いた三輪トラック、通称バタンコが展示してあり、私の世代では感涙ものです。

 沼名前神社では地域おこしで、毎月第4日曜日の午前に「軽トラ市」というイベントが行われていますが、様々な工芸・産品が軽トラ・軽バンの荷台を用いた店舗で販売され、賑わっています。

 渡船場では仙酔島に渡る「平成いろは丸」が運航され、片道5分のミニクルーズができます。運賃は往復で240円で観光気分にひたれます。

 


しまなみ海道に連れ出した

 しまなみ海道では、行きがけに「尾道珈琲浪漫」でワッフルモーニングを頂いた後に、向島からしまなみ海道に入り車でサイクリングルートを案内しながら、最近大好きになった大島に降り立ちます。

 道すがら、わんこが番犬の役目もせず、塀の上で寝そべってとろけている程、のどかな雰囲気を味わいつつ、一押しの「食堂みつばち」にご案内してランチで舌鼓。

 腹ごなしに道の駅「よしうみいきいき館」で自転車を下ろして、しまなみ海道で最長の4kmの来島海峡大橋の往復に海風を感じながらチャレンジしてもらいます。

 途中の馬島という有人島では橋脚に沿って設けられたガラス張りのエレベーターで降りて、下から見上げて橋脚の大きさを実感した後、サイクリングターミナルの「サンライズ糸山」で四国本土に足跡を残して達成感を得てもらいました。そして来た道を戻って都合10㎞程のミニサイクリングとなりました。

 折り返して大三島の「オミシマコーヒー焙煎所」では、スロウな雰囲気の中でコーヒーの味が分からない者同士で、うんうんと言いながらこだわりコーヒーをすすりますが、しかしここの「生みたて卵プリン」は絶品です。

 帰りは夜の尾道でご馳走になろうと思っていたら、大行列店の朱華園が空いていたので中華そばがいいとご所望で、安上がりに済まされて帰途につきました。

 


 このように観光案内をして、表向き喜んでもらえたようですが、その表情の奥にはそれとなく「引きつり」が。どうやら私が名所てんこ盛りのプランを作り早朝に出発するのが堪えたようです。

 高校の同級生は昔から博物館・美術館などに行っても「たいぎいわ、帰ろうや」とかすぐに言い出すのですが、「まだ2時間しか見てないじゃろうが」という私とは少しすれ違いはあったりします。彼が堪え性が無いのか、私が我がままなのか、どっちでしょうか。

 そんなこんなで、「また連れて行ってちょうだい」という話には、なかなかならないようです。そんな事で一人の方が気ままで存分に見たいものが見れるので、一人旅に戻るというお話でした。

 次回はついに折り畳み自転車の一人旅で1日の走行距離が100㎞を越えるお話です。

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