旅カメラと行く「京都鴨川」前編 カメラ道楽部屋(8)

 カメラは持っていても、被写体に向けてシャッターを切らないと、ただのお荷物になってしまいますが、旅先では私のように忘れっぽい人間にはExif(イグジフと読みます)という記録領域に撮影時の設定データや撮影時間、GPS機能のあるカメラでは撮影位置まで記録されているので、見たものの時系列を残せる便利な道具です。(ただし、GPSデータと映像で個人情報が特定できるという弊害もあるようです

 カメラには「旅カメラ」という捉え方があるようで、定義は種々あると思いますが、私の定義は、風景はワイドに撮りたいし、生き物や乗り物は離れたところからしか撮れないことがあるので、広角から望遠までのズーム比率が高い事が重要です。また花や食べ物を撮るときはマクロで被写体の近くに寄れること、夜景が三脚無しでブレずに撮れる事など、旅先での一瞬の出会いを逃さないように、それ1台で小細工なく大抵のものが撮れる事が重要です。

 高倍率なものでは一眼レフに似たシルエットで「ネオ一眼」と呼ばれるモデル群があり、高倍率を誇るものや、ズーム全域F2.8という明るい大口径レンズを誇るものなどそれぞれに特色がありました。当初は10倍位のズーム率でしたが、最近では50倍を越えるモデルもあります。

 倍率が上がるにつれて少しの手振れが映像に影響しますので、それにつれて「手振れ補正機能」の性能も向上してきています。しかし「高倍率」を達成するためにはセンサーを大きくするのは難しく「高画質」とは相反する一面があります。

 特に私がよく使っていたネオ一眼はSONYのDSC-HX100Vというモデルで、GPSなどを含めてほぼ全部入りなのですが、一番困るのが大きさがかさばり咄嗟の時に出し辛い事です。

 そこで高倍率でも邪魔にならないコンパクトな機種に注目ですが、ネオ一眼以前に使っていた高倍率モデルはオリンパスのC-770という10倍モデルからスタートしました。10倍モデルで今でもサイクリング時に持ち歩いているのは右上写真のSONYのWX-220ですが、一番性能的に私のニーズに合っていたのは下2枚のSONYの20倍ズーム、GPS付きでUSBで充電できるDSC-HX30Vという優等生モデルで、どこに行くにも持ち歩いていた「THE 旅カメラ」でした。

上段/オリンパスC770、SONYのWX220、下段/SONYのHX30V

 しかし経年劣化で少々トラブルを抱え込むようになり、ポンコツばかり持ち歩く私にしては一大決心でHX90Vというモデルを買い足しました。 HX30Vとさほど大きさは変わりませんが30倍ズームに可動モニター、その上ポップアップするファインダーがあるので、望遠時には被写体を追いやすいです。

(左)WX220 (中)HX90V (右)HX100V

 京都へ行った折には、時間があれば相棒の「旅カメラ」を連れて市街東側を流れる鴨川辺りを歩いたりサイクリングしたりすることがあります。京都市民にとっては何気ない「日常でも、旅人の私にとっては貴重な一期一会の「旅情」となり、見るもの全てが新鮮に映ります。

 今回と次回はその時に出会った生き物達を中心に切り取ったスナップを繋ぎ合わせて紹介してみたいと思います。


鴨川のおさらい

 大阪の中心部の中之島や淀屋橋からやって来る京阪電車は鴨川東岸に沿う形で北上し、京都側の終点は出町柳という駅です。

 その真ん前にある賀茂大橋から北側を眺めますと、右手からは比叡山西麓の大原などからの支流が合わさった「高野川」、左手からは「賀茂川」が、ここで綺麗なY字型に合わさって、紛らわしいのですが「鴨川」と名を変えます。 鴨川の本流はこの先で嵐山方面から流れてきた「桂川」と出会い、大阪との府境の山崎辺りで琵琶湖からの「宇治川」、奈良方面からの「木津川」などと合わさって「淀川」として大阪湾に注ぎます。


高野川・賀茂川を覗いてみる

 まずは、その出町柳駅から叡山電鉄という鞍馬に向かう登山電車に、自転車を伴い乗って高野川の上流に向かってみます。

 叡山電鉄沿線は、ちょっと前でしたら、back numberのヒット曲「ハッピーエンド」のエンディングが印象的な映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」の舞台で知られています。

 鞍馬の2つ手前の二の瀬辺りから勾配が増し、鞍馬川に沿って、俄然登山電車の趣となります。終点の鞍馬駅ではハイカーの姿とともに、大きな天狗の鼻が印象的です。

 牛若丸(もちろん後の源義経です)が預けられたのが鞍馬寺でカラス天狗を相手に剣術を稽古していたと言い伝えられています。

 折り畳み自転車を展開して鞍馬寺から、あまり景観が良くないのですが鞍馬川に沿ってくねくねと出町柳方面に向かって下っていきます。

 鞍馬川は高野川に注ぐと思っていたら、どっこい途中で西に大きく向きを変えて賀茂川に注いで行くので途中でお別れとなります。

 人里に降りてきて叡山電鉄沿線で下って行きますが、所々で小川には鴨やアヒルがいたり、また京野菜を育てる畑など田園風景を味わいつつひた走り、京都精華大学を過ぎて岩倉川に出会い、宝ヶ池周辺で高野川に出会います。 賀茂川との合流地点手前の三角地帯には、世界遺産に指定されており京都で最古の部類の賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)、通称下賀茂神社」が鎮座され、境内南側は原生林の「糺の森(ただすのもり)」が南北に広がり、落ち着いた雰囲気を醸しだしています。

鬱蒼とした糺の森と、凛とした下賀茂神社

 糺の森を抜けると目の前には賀茂大橋が見えて、この先は西からの賀茂川と合わさって「鴨川」となります。

高野川が賀茂川と合流して「鴨川」となる手前から望む

賀茂大橋から上流側を望んだ構図です

 高野川ばかりでは不公平ですので、賀茂川も少し遡ってみますが、早速、水辺の草が茂った辺りに波紋が見えますので、何か生き物でもいるのかと近づきますと、大きなネズミみたいなのが泳いでいました。

 ヌートリアといって、戦時中に飛行服用の毛皮をとるために輸入されましたが、需要が無くなれば野生化して堤防に穴を開けるなどで特定外来生物として厄介者扱いされている気の毒な動物です。

 水面に顔を出している時は愛嬌のある表情ですが、水中では潜水艦のように流線型で素早い動きを見せます。



 もう少し遡りますと京都府立植物園があり、池には小学生の頃に習ったオオオニバスもありますが、上に子供が乗れるほどは大きくありません。

 私が立ち寄った時には現代美術家のヤノベケンジのイベントがあり、庭園とともにアートも楽しめました。


京都市民の憩いの場所

 賀茂川と高野川が合わさって「鴨川」となるのですが、特にこの合流地点は市民の憩いの場所として賑わっています。

 ここから下流に向かって数箇所には川を横切る形で飛び石が設置され川が渡れるようになっています。石の形も所々で亀や千鳥、船の形など変化もあります。

 私のように人とは違った写真を撮ろうとする者は、石と石の間を跨いで水面ギリギリにカメラを持ってきて写真を撮ったりします。 この飛び石は大人にとっては大したものではありませんが、小さな子供や犬にはおっかなびっくりな存在です。実際犬が渡るのを観察していますと最初は腰が引けていましたが、最後にはテンポ良く飛んでいました。 このように犬を散歩させているのか、人間が犬に散歩に連れられているのか分かりませんが、とにかくお散歩天国です。

 犬の種類もエリザベス女王愛犬のウエリッシュ・コーギー・ペンブロークが子供と遊んでいたり、大・中・小と揃ったプードルがいたり、ビーグルが自転車に追いつくために全力疾走していたり、犬種の勉強にもなります。

 ラブラドール・レトリバーは、ボールをめがけて水の中に飛び込んだり、悶えるようにひっくり返ったりしながら遊び上手のようです。

 鴨川沿いは自転車で行き交う人も多いのですが、ちょっと油断すると猫に自転車を占拠されたりしました。自転車の何に興味を持っているのか教えてもらいたいところです。

 トンボは高倍率のズームが効くと逃げられませんので比較的撮り易い昆虫です。このトンボは羽が黒いので「ハグロトンボ」というそのまんまのネーミングです。

 下の黄色い花はネームプレートが添えられていて「ヤマブキ」と書いてあります。我々印刷に携わる者には黄色とオレンジ色の中間の「山吹色」として知られていて、花の色がそのまんま色の名前になっていて、トンボと逆のケースのようです。

 さて、「ヤマブキ」のプレートに下隅に「バラ科」の文字が見えますが、雑用にまみれて「薔薇色の人生」に縁のない私にとっては、どんな色か分かりかねるというところで、落ちがついて次回に続きます。

 

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